苛々が止まらない。
弾む声、ころころ転がるような笑い声、恥ずかしげなはにかみ、揺れながらも熱の篭った視線、どれをとったって、俺に向けられたものじゃない。
だから苛々が止まらない。
「クルルー、入るでありますよー…って、まぁた殿のストーカー?」
舌打ちもそこそこにウィンドウを閉じる。ひたひたと隊長の足音が近付いて来る。苛々は止まらなかった。
「…地球人の監視は侵略者として当然っすよ?」
「殿一人に監視カメラ50台…熱心でありますなあ。」
侵略会議にもそれくらい熱心に参加してくれたら。
溜息が聞こえた。
「それ、やり過ぎは身を滅ぼすでありますよ。」
「隊長には言われたくねーな…。」
椅子ごと振り向くと、何を考えているのか今一読み取れない、いつもの顔だった。
「こんなことばかりしていたら精神衛生上良くないであります。さ、行くでありますよ。」
隊長そうして俺の腕をむんずと掴む。
「はいはい…。」
ちらりとディスプレイを振り仰ぐ。
俺は一週間振りにラボを後にした。
許されない恋をしました